将来のことを考えれば、やはり光ファイバにするのが1番賢いが、賃貸生活の人は引越しの時がやはり面倒になる。ADSLなら電話線なので、どこにいってもほぼ間違いなくADSLが利用できる。また、家の中ではAirMacを使ったインドアモバイル的な使い方をしている人が多いと思うが、光の速さに追いつく無線LANキットはまだまだ高く、しかも光の速さはフルに活かしきれない。光はいいのだが、ちょっと宝の持ち腐れ感があったりする。
ADSLはどこまで
速くなるのか?
すでにADSLでブロードバンドを楽しまれている院者は多いと思う。ところが速度の点では、二のADSLずいぶんと開きが出てきた。未だに1.5Mを使っている人も多いし、すでに24Mサービスを堪能している人もいるだろう。ADSLばとこまで速くなるのだろうか。また、なんで最初から速いADSLは登場してこなかったのだろうか。これが今回の疑問だ。
1.5M:たつ:たADSLもいまや24M時代に突入
読者の中には、すでにADSLをインターネット回線として利用している人も多いだろうし、あるいはまだこれからという人は「光にするか、ADSLにするか」と悩んでいる人も多いだろう。通信速度のことを考えたら光を利用したほうがいいに決まっているが、工事やらなんやらが面倒くさい。一方で、最近のADSLは24Mbpsなどという速度も出てきて「その内、光の速度に追いついちゃうんじゃないの?だったら工事費用などの面で簡単手軽なADSLでいいじゃない」と考える人もいると思う。当然「光にするか、ADSLにするか」問題を考える時には、「ADSLはどこまで速くなる可能性を秘めているのか」ということを知りたいはずだ。今回は、この問題を扱ってみたい。ただし、最初にお断りしておくが、あくまでも現状の技術という枠組みの中で解説していく。技術というのは常にブレイクスルーしていくものだから、現状ではADSLの速度に限界があるといっても、来週そうそうにもどこかの技術者がブレイクスルーする技術を発表しないとも限らない。このことを頭に入れてお読みいただきたい。まず、最初にADSLの基本的な仕組みをざっとおさらいしておこう。電話線は元々かなり贅沢な使われ方をしている。メタルケーブルの能力としては、かなりの高周波信号を通すことができるのに、音声信号はそのごくごく一部しか使っていないのだ。「周波数」という言葉を出すと、催眠術にかかったように眠気をもよおしてくる方が多いの
で、ここはピアノの例で説明しよう。メタルケーブルはグランドピアノのように、低い音から高い音まで扱うことができるのに、音声電話はその1番低い1オクターブ分ぐらいしか使っていないのだ。そこで、今まで使っていなかった高い音の鍵盤を利用して、ネットのデータを流そうという発想がADSLだ。音声が使っている1オクターブ分から上の鍵盤しか使わないので、音声とデータを同時に流しても単なる和音になるだけで混ざってごちゃごちゃになることはない。構造が和音だから、スプリッタが音の高低で電話とモデムに振り分けられるのである。ところで、ADSLではネットのデータも和音形式で送られるのをご存じだろうか。たとえば、ドの音が最初の1ビット、レの音が次の1ビット、ミの音がその次の1ビットというように、音の高さの和音形式でデータが送られるのだ。ドミソの和音であれば「10101」というデータになり、レファシの和音なら「OlOlOOl」というデータになる。昔プリンタなどで使われた複数のデータを一斉に送る「バス方式(複数の乗客、つまりデータをバスに乗せて一斉に送る)」と考え方は同じなのだ。こういう方式であれば、ADSLを高速化するにはどうしたらいいか、もうおわかりだろう。鍵盤の数を増やせばいいのだ。鍵盤の数を2倍に増やしてやれば、1度に送れるデータ量は一気に2倍にできる。当初ADSLがスタートした時は、1.5Mbpsというのが標準的な速度だった。この鍵盤の数、つまり帯域を2倍にしたものが次に登場した8Mbpsサービスで、さらに2倍にしたものが16Mbps、24Mbpsサービス、これをまた2倍にしたものまで考えられており、50Mbpsサービス
スも実現が近づいている。
爪に火をともして高速化してきたADSL
ところで、「1.5Mの2倍がなんで8Mなの?」という素朴な疑問を持たれる人もいるだろう。これは主にノイズ対策によってこのような不思議な数字になってしまうのだ。例えば、ADSLの1番の大敵はISDN回線だ。ADSLは上りデータと下りデータの音の高さを変えている。このため、上りと下りの信号を同時に流しても混じり合ったりすることはない。ところがISDNは、上りと下りに同じ音の高さの信号を使っているのだ。上りと下りの信号を同時に流すと混ざり合ってしまい、わけがわからなくなってしまう。それで、ちょうどトランシーバのように上りと下りを切り替えながら使っているのだ。まず上りのデータを流し、それが終わったら今度は下りのデータを流すというように、上りと下りが交互になる仕組みだ。といっても、この間隔は1.25mm秒と大変短いもので、人間にとっては上り下りのデータが同時に流れているようにしか感じられない。それはいいのだが、問題はこの切り替えの時に高い音のノイズを出すことだ。このノイズはADSLが使っている帯域と重なってしまう。ADSLが普及し始めた頃「ISDNとの干渉問題」といわれたのはこのことだ。では、この問題をどうやって解決しているのか。ノイズが発生するのは、上り下りのごくわずかな瞬間だ。この時、ADSLは信号を送るのを止めてしまうのである。そして、ノイズが発生しない間はフルに和音を使って、できるだけたくさんのデータを送るというわけだ。
つまりADSLは、メタルケーブルの能力をフルに使っていないことになる。ISDNのノイズが発生する間もデータをたくさん送れるようになれば、それだけ速度はアップすることになるのだ。さらに、「オーバーラップ」と呼ばれる手法も使われている。これは上り用の帯域にも下りの信号を流してしまうもので、その分多くのデータが送れるようになる。上りと下りの信号を同時に流すので、混ざり合ってしまう可能性があるが、これをモデム側 側が仕分ける工夫がされている。そのためモデムの製造コストがやや高くなるのだ。8Mと12Mは使われている帯域幅は同じだが、12Mではこのオーバーラップが行われている。さらに、エラー訂正を手抜きしてしまえという強引な工夫もある。エラー訂正を手抜きすれば、その分エラー訂正用の信号を流す必要がなくなるので、送れるデータ量が増えるというわけだ。もうおわかりだと思うが、ADSLは、かなりちまちまと爪に火をともすようにしてデータ転送に使えるところを探しているのだ。こういう積み重ねがADSLを少しずつ速くしてきた。
現状では50MbpsがADSLの限界速度!?
とはいえ、こ このような工夫は根本的な解決に
はならない。飛躍的に速くするためには、鍵盤の数を増やす、つまり利用する帯域を広く取るということしかない。図1を見てもらえばわかるが、1.5M→8M→16Mと使う帯域が倍になっていっている。12Mや20M、24M、28Mというサービスは、それぞれ細かい工夫をしてさらに速度をアップさせたものだ。となれば、さらに帯域を広げてやればもっと速くなるはずだが、現実はそう簡単にはいかない。なぜなら、高い音というのはノイズに弱いからだ。高周波はノイズに弱いのだ。夕日が赤く見えるのは、空気中の塵(ノイズ)に青系統の光(高周波成分)が妨げられて、赤系統の光(低周波成分)しか届かないからだというのはご存知だろう。ADSLも、あれと同じように高い音の領域を使ったデータは遠くには届 届かないのだ。1.5Mの時は基地局から5km以内でないと使えないといわれたが、8Mや16Mでは2km程度でないと十分な速度が出ないともいわれている。今、さらに帯域を広げたクアドスペクトラムADSL(4倍速ADSL)が起ち上がり始めているが、電話局から500m程度でないと速度が出ないという話もある(もちろん、これは実験レベルの話で、サービスが開始される時はこんなことはないと思う)。この4倍速ADSLは、理想的な環境では50Mbps程度になるという。
では、8倍速ADSLは可能なのか?現在の技術では答えは「NO」なのだ。あるいは可能になったとしても、基地局から2m以内などという極端な話になってしまうかもしれない。また、高い周波数になればなるほどさまざまなノイズにさらされることになるので、おおかたの見解では4倍速、つまり50Mbpsが限界だと見られている(冒頭に触れたように、技術のブレイクスルーが起これば、この限界も突破されるのだが)。テレビ並の映像を楽しむには30-40Mで十分だが、南画質・大画面で楽しみたいのであれば60M以上はほしいと言われている。つまり、映像コンテンツをどう楽しみたいかでADSLで十分か、光にする必要があるのかが決まってくるのである。